行政事件訴訟
行政事件訴訟法は類型、原告適格、処分性、狭義の訴えの利益の判例を覚えなければなりません。
昨年の試験で私は混乱して間違えました。確実にこの辺は抑える必要があります。
類型
主観訴訟 | 抗告訴訟 | 処分取り消しの訴え |
裁決取り消しの訴え | ||
無効等確認の訴え | ||
不作為違法確認の訴え | ||
義務付けの訴え | ||
差止めの訴え | ||
当事者訴訟 | 形式的当事者訴訟 | |
実質的当事者訴訟 | ||
客観訴訟 | 民衆訴訟 | |
機関訴訟 |
取消訴訟
処分取消訴訟と裁決取消訴訟がある。
原処分主義:処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取り消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることは出来ない。
訴訟要件
訴訟要件が欠けていると取消し訴訟を提起できない。
<訴訟要件>
- 処分性
- 原告適格
- 訴えの利益
- 被告適格
- 裁判管轄
- 出訴機関
- 審査請求前置
処分性
公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。
処分性は判例を覚えるしかない!
処分性のまとめ
処分性あり | 処分性なし | |
私法行為 | ・供託物取戻請求却下処分 ・労働基準監督署長による労災就学援護費の支給決定 | ・国有財産払下げ ・農地法に基づく農地の売払い |
内部行為 | ・通達 ・建築許可に対する消防長の同意 | |
行政計画 | ・土地区画整理事業の計画の決定 ・第二種市街地再開発事業計画の決定 | ・都市計画法上の用途地域の指定 |
行政立法 | ・建築基準法42条2項の道路の一括指定(2項道路) ・市が設置する保育所の廃止を求める条例の制定 | ・簡易水道事業の水道料金を改定する条例の制定 |
事実行為 | ・病院開設中止勧告 ・輸入禁制品に該当する通知 ・登録免許税還付通知拒否通知 | ・反則金の納付通知 ・こみ焼却場の建設工事 ・開発許可に係る公共施設管理者の同意 ・公務員の採用内定取り消し ・市町村長による住民票への続柄の記載 |
原告適格
原告適格は、処分。裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り認められる。
原告適格のまとめ
原告適格あり | 原告適格なし |
公衆浴場の営業許可処分 | 質屋の営業許可処分 |
林地開発許可(被害を受けることが予想される地域住民) | 主婦連ジュース事件 |
建築物の倒壊・炎上等により直接被害を受ける範囲の建築物居住者 | 特急料金の認可(利用者) |
日照権を阻害される周辺の他の建築物の居住者 | 史跡指定解除処分(学術研究者) |
都市計画事業認可(騒音・振動等で健康生活環境に係る著しい被害を直接受けるおそれのある周辺住民) | 風俗営業許可(制限地域に居住するもの) |
場外車券発売施設の周辺での医療施設開設 | 場外車券発売施設の周辺住民 |
原子炉周辺住民 | |
飛行機での騒音で著しい障害を受ける周辺住民 |
狭義の訴えの利益
原告が勝訴することによって(処分が取り消されて)現実に回復される利益のこと。
狭義の訴えの利益のまとめ
事例 | 訴えの利益の有無 |
建築確認を受けた工事が完了した後の建築確認処分取消訴訟 | なし |
土地改良事業の工事が完了して原状回復が社会通念上不可能 | あり |
市街化調整区域内の開発許可において、工事が完了して検査済証が交付 | あり |
市街化区域内の開発許可において、工事が完了して検査済証が交付 | なし |
生活保護受給者たる原告の死亡 | なし |
免職処分取消訴訟係属中に、原告である公務員の死亡 | あり |
皇居外苑使用不許可処分の使用期日経過 | なし |
公文書非公開決定 公文書が証書として提出された場合 | あり |
保安林指定解除処分により、代替処置により危険が解消 | なし |
保育の実施期間がすべて満了した後の保育所廃止条例の制定取消し行為 | なし |
公務員の免職処分を受けた公務員が公職に立候補した場合、原告公務員の権利利益を回復する利益がある | あり |
市街化調整地域の開発許可は訴えの利益があり、市街化区域内の場合は訴えの利益がないのは覚えるのが難しい。
市街化調整あり区域なし (市街は町あり区なし)こじつけて覚える
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