行政不服審査法

行政法 行政不服審査法

行政不服審査法

行政不服審査法総則

行政不服審査法第1条
この法律は、行政庁の違法または不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公平な手続きの下で広く行政庁に対する不服申し立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。
と定められている。

審査請求

行政庁の処分に不服がある者、法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者で当該申請から相当の期間が経過したにも関わらず、行政庁の不作為がある場合には審査請求をすることができる

不作為についての審査請求は申請した者のみができる。

一般概括主義により適用除外とされたもの以外の処分は審査請求することができる。
注意が必要な適用除外
・形式的当事者訴訟によるべきとされている処分
・行政不服審査法に基づいてされる処分
 (利害関係人の参加の不許可処分、審査請求人からの物件閲覧・交付請求を拒否する処分等)

審査請求すべき行政庁

処分を行った行政庁の最上級行政庁に審査請求をする。

再調査の請求

  • 行政庁の処分について処分庁以外の行政庁に対して審査請求ができる場合に、法律で再調査の請求ができる定めがあるときに、当該処分に不服がある者は、処分庁に対して再調査の請求ができる。(審査請求するか、再調査の請求するかは自由選択主義)
  • 再調査の請求をしたときは、再調査の決定を経た後でなければ、審査請求はできない。
    ただし、再調査の請求をした日の翌日から起算して3か月を経過しても、処分庁が当該再調査の請求についての決定をしない場合、その他決定を経ないことについて正当な理由がある場合には再調査の決定を経なくても、審査請求ができる。
  • 行政庁の不作為については、再調査の請求はできない

再審査請求

  • 行政庁の処分につき再審査請求をすることができる定めがあるときは再審査請求が可能。
  • 不作為については、再審査請求はできない。

審査請求の要件

要件

  1. 処分または不作為が存在すること
  2. 正当な当事者からなされること
  3. 権限を有する行政庁に対してすること
  4. 審査請求期間内にすること
  5. 形式と手続きを遵守すること
    これらの要件を満たさないと却下される。

〇審査請求期間
処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内、処分があった日の翌日から起算して1年以内。
不作為の場合には、不作為状態が継続している限り審査請求が可能。

〇審査請求は、他の法律・条例で口頭ですることができる定めがある場合を除き審査請求書を提出しなければならない。

〇審査請求書の補正
審査請求書が第19条の規定に違反していた場合には、審査庁は、相当な期間を定めて補正を命じなければならない。すぐに却下してはならない。(行政手続法と混同しないように)

審査請求の終了

裁決の種類:却下裁決・棄却裁決・認容裁決がある。
・審査庁は、処分についての審査請求が法定の期間が経過後にされたのものである場合その他不適合である場合には裁決で審査請求を却下する。
・処分についての審査請求に理由がない場合には、裁決で審査請求を棄却する。
・処分の取り消し又は撤廃が公共の福祉に適合しないときは、裁決で当該審査請求を棄却する。

処分についての審査請求の裁決の効果

処分事実上の行為
審査庁が処分庁の上級行政庁処分の全部又は一部を取消し又は変更する。処分庁に対し当該事実上の行為の全部又は一部を撤廃し、又はこれを変更すべき旨を命ずる
審査庁が処分庁処分の全部又は一部を取消し又は変更する。当該事実上の行為の全部の一部を撤廃し、又はこれを変更する
審査庁が処分庁の上級行政庁又は
処分庁のいずれでもない
処分の全部又は一部を取り消す。処分庁に対し当該事実上の行為の全部又は一部を撤廃すべき旨を命ずる

不作為についての審査請求の裁決の効果

審査庁が不作為庁の上級行政庁不作為が違法又は不当である旨を宣言する。不作為庁に対し、申請に対して処分をすべき旨を命ずる。
審査庁が不作為庁不作為が違法又は不当である旨を宣言する。申請に対して処分をする。

執行停止

・原則は執行不停止

任意的な執行停止審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁審査請求人の申立て又は職権により、執行停止をすることができる。
任意的な執行停止審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上で、執行停止をすることができる。
義務的な執行停止審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行・手続きの続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。(義務)
次の場合には執行停止の義務はない
・公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき
・本案について理由がないとみえるとき
は執行停止をしなくてよい。
執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかになったとき、その他事情が変更したときは、審査庁はその執行停止を取り消すことできる。

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